紀三井寺(きみいでら)は、和歌山県和歌山市にある古刹で、関西地方で最も早く桜が咲く名所として知られています。日本さくら名所100選にも選ばれており、春になると境内に約500本の桜が咲き誇り、多くの花見客が訪れます。
桜の見頃に合わせて毎年「紀三井寺さくらまつり」が開催され、2025年は3月20日(木)~4月20日(日)の予定です。
期間中は日没から夜間にライトアップが行われ、幻想的な夜桜も楽しむことができます。
拝観時間は通常8:00~17:00ですが、桜祭り期間中のライトアップ時は22:00頃まで境内に入れます。
紀三井寺さくらまつり2025が3月開催、桜の見どころ
紀三井寺の歴史
紀三井寺は奈良時代の宝亀元年(770年)に唐から渡来した僧・為光上人(いこうしょうにん)によって開かれた古いお寺です。
開山伝説によれば、為光上人が名草山で霊光を感じて登ったところ、千手観音菩薩の姿を感得し、自ら十一面観世音菩薩像を刻んでお堂を建てたのが始まりとされています。
その後、歴代天皇の行幸があり、平安時代末には後白河法皇によって勅願所に定められるなど寺運が隆盛しました。また江戸時代に入ると紀州徳川家の歴代藩主がたびたび参拝し、紀三井寺を「紀州祈祷の大道場」として篤く崇敬しました。
寺号の「紀三井寺」は「紀州にある三つの井戸が湧く寺」という意味で、その名の通り境内には清浄水・楊柳水・吉祥水という三つの霊泉がこんこんと湧き出ています。
この三井水は昭和60年に環境庁の「名水百選」に選定されており、古くから枯れることなく湧き続ける霊水として信仰の対象となってきました。
正式名称は「紀三井山金剛宝寺護国院」といい、西国三十三所観音霊場の第二番札所でもあります。
御本尊の十一面観音菩薩は厄除け・開運・良縁・安産・子授けにご利益があるとされ、現在も毎月18日の縁日には多くの参拝者で賑わいます。
桜の種類や見どころ
紀三井寺は「近畿地方に春を呼ぶ寺」とも称されるほど早咲きの桜で有名で、境内本堂前にあるソメイヨシノの標本木(気象台の観測木)の開花が和歌山に春の訪れを告げます。
境内にはソメイヨシノを中心にヤマザクラやシダレザクラなど約500本の桜の木が植えられており、一斉に咲く様子はまさに圧巻です。
例年の見頃は3月下旬から4月上旬で、桜祭り期間中の人出は約8万人にも上ります。
夜間ライトアップされた桜と伽藍の光景も美しく、日中とは違った雰囲気を楽しめるでしょう。
境内の桜の見どころはいくつもあります。まず楼門をくぐると目の前に現れる231段の石段です。この石段の両脇に桜がずらりと植えられており、満開時には桜のトンネルのような絶景が楽しめます。
特に階段を登りきった地点から振り返ると、桜に彩られた和歌浦湾の美しい景色を望むことができ、「絶景の宝庫 和歌の浦」として日本遺産にも認定された風景が広がります。
境内では朱塗りの多宝塔と桜のコントラストも見逃せません。鮮やかな塔と淡い桜花の組み合わせは写真映えし、紀三井寺ならではの春の風景となっています。
また、新設の仏殿に安置された高さ12mの木造十一面観音像のある展望回廊(拝観料100円)からは、境内を見下ろす形で桜を鑑賞でき、高所からの眺望を楽しむこともできます。紀三井寺の桜は早咲きとはいえ見頃は短いので、開花情報をチェックして万全のタイミングで訪れたいところです。
紀三井寺の基本情報
– 名称:紀三井寺(正式名称:紀三井山金剛宝寺護国院)
– 住所:和歌山県和歌山市紀三井寺1201
– 電話番号:073-444-1002
– 拝観時間:通常 8:00~17:00(桜まつり期間中は夜間ライトアップあり、22:00頃まで)
– 拝観料:
– 徒歩参拝:無料
– ケーブルカー・山上駐車場利用者:大人400円、小中学生・70歳以上200円
– 桜の見頃:3月下旬~4月上旬
– 桜の本数:境内約500本(ソメイヨシノ、ヤマザクラ、シダレザクラなど)
– ライトアップ:桜まつり期間中の日没後~22:00頃
– アクセス:
-電車:JR紀勢本線(きのくに線)「紀三井寺駅」から徒歩約10分
-バス:南海電鉄和歌山市駅またはJR和歌山駅から和歌山バス「紀三井寺」バス停下車、徒歩約10分
-車:阪和自動車道 和歌山ICまたは和歌山南ICから約15~20分
– 駐車場:
-北門前駐車場(約30台、通常1台300円、桜の時期は500円)
-山上駐車場(約20台、通常1台700円、桜の時期は1000円)
– 西国三十三所観音霊場:第二番札所
– 御本尊:十一面観世音菩薩(厄除け・開運・良縁・安産・子授けのご利益)
– 名水百選:「清浄水・楊柳水・吉祥水」の三井水
– 公式サイト:https://www.kimiidera.com/
紀三井寺へのアクセス(公共交通機関・車)
公共交通機関でのアクセス:
紀三井寺はJR紀勢本線(きのくに線)の紀三井寺駅から徒歩約10分と近く、電車でのアクセスが便利です。JR和歌山駅で紀勢本線の下り列車(和歌山~海南方面行き)に乗り換え、2駅目が紀三井寺駅になります。
また南海電鉄和歌山市駅からは和歌山バス海南方面行きに乗車し、「紀三井寺」バス停で下車、徒歩約10分で到着します。和歌山駅や和歌山市駅から紀三井寺方面行きの直通バスも運行されています。桜の時期は臨時バスが出ることもありますので、事前に時刻表を確認すると良いでしょう。
車でのアクセス:
大阪方面から車で訪れる場合は、阪和自動車道を和歌山ICまたは和歌山南スマートICで降りるルートが一般的です。和歌山ICからは市内方面へ約20分、和歌山南ICからは約15分で紀三井寺に到着します。
名古屋・東京方面からは名神高速・近畿自動車道を経由して阪和道に入り、同様に和歌山ICを利用します。
紀三井寺は和歌山市南部の名草山中腹に位置し、周辺道路は桜の季節には大変混雑します。特に週末は渋滞が発生しやすいため、公共交通機関の利用や、早朝の出発を検討すると安心です。
駐車場情報(有無、料金、混雑状況)
紀三井寺には境内近くに公式駐車場があります。北側山麓の北門前駐車場(楼門に向かって左手約200m)と、本堂近くまで車で上がれる山上駐車場の2箇所です。
収容台数は合わせて約30台程度と限られており、花見シーズンには早い時間に満車となることが多いです。
駐車料金は通常、北門前駐車場が1台300円、山上駐車場が1台700円に設定されていますが、桜まつり期間中は臨時で料金が引き上げられる場合があります(例年の観桜期は北門前500円、山上1000円)。
また桜の時期は周辺道路も混雑するため、駐車場に入るまでに時間がかかることがあります。紀三井寺周辺には民間のコインパーキングも点在していますが、台数が少ないため満車の可能性も高いです。初めて車で訪れる方は、できるだけ公共交通を利用するか、平日や早朝を狙うなど渋滞・満車対策をしておくと良いでしょう。
紀三井寺周辺のおすすめスポット(観光地・飲食店)
周辺の観光地:
紀三井寺のある和歌浦エリアは古くから景勝地として知られ、周辺には歴史的な名所が点在しています。寺の西側一帯に広がる和歌浦湾沿いには、徳川頼宣が創建した朱塗りの社殿が美しい紀州東照宮(きしゅうとうしょうぐう)があります。
紀州東照宮は江戸時代初期の元和7年(1621年)に建立された神社で、その極彩色の建造物は「関西の日光」とも呼ばれるほど見事です。
東照宮へは108段の石段を登りますが、こちらからも和歌浦の海を一望できます。
また、和歌浦湾には小島・妹背山(いもせやま)とそれに架かる優美な石橋の不老橋、万葉集にも詠まれた玉津島神社、学問の神様を祀る和歌浦天満宮など、歴史と風景が調和したスポットが多数あります。
時間に余裕があれば紀三井寺の参拝と合わせてこれら周辺観光地も訪れてみると良いでしょう。特に和歌浦の海岸線と古社寺が織りなす景観は風情があり、和歌山の歴史文化を感じられるはずです。
さらに足を延ばせば、紀三井寺から南西へ車で15分ほどの臨海部に和歌山マリーナシティがあります。マリーナシティは人工島のリゾート施設で、中世ヨーロッパ風のテーマパーク「ポルトヨーロッパ」や、和歌山の新鮮な海産物が集まる黒潮市場が人気です。
マリーナシティではマグロの解体ショーや海鮮グルメが楽しめるほか、紀陽温泉や釣り公園など家族で楽しめる施設も揃っています。
紀三井寺でお花見を満喫した後、和歌浦の景勝やマリーナシティで海景色とグルメを味わうのも、和歌山旅行の充実したプランになるでしょう。
周辺のグルメ:
和歌山観光でぜひ味わいたいご当地グルメに「和歌山ラーメン」があります。醤油とんこつベースの濃厚なスープに細麺を合わせた和歌山ラーメンは地元の人々にも愛されており、紀三井寺周辺にも評判のラーメン店があります。
中でも寺から程近い老舗の丸三中華そばは、創業30年以上の人気店で、「醤油豚骨系の和歌山ラーメンならここが一番」と地元で評される名店です。
行列ができることも多いですが、コク深いスープと柔らかい麺の一杯は待つ価値があります。その他、和歌山市内中心部には和歌山ラーメンの有名店が点在し、お店ごとに微妙に異なる味わいを食べ比べてみるのも面白いでしょう。
また、紀三井寺の境内には「天空かふぇ」という休憩処があり、境内の湧き水で淹れたコーヒーや甘酒などを味わうことができます。
参拝や花見の合間に絶景を眺めながら一息つけるスポットとして好評です。
和歌山は他にも梅干しや柑橘類など特産品が豊富で、お土産には地元産の梅干や八朔ピール、めはり寿司なども喜ばれます。
初めて訪れる方は、紀三井寺で歴史と自然に触れ、美しい桜を堪能した後、和歌山ならではの食事や観光スポットにもぜひ足を運んでみてください。紀三井寺とその周辺エリアでの体験が、きっと思い出深い春の旅になることでしょう。